『殺人の告白』の感想です。 (1/3)
なぜか日本ではパク・シフ主演になってるんだが、ちが~う!
主演はチョン・ジェヨンで、パク・シフより先にクレジットされている。
とはいっても、わたし自身、パク・シフがお目当てで見出したのは間違いない。だが、冒頭のアクション・シーンで、これはパク・シフ鑑賞映画ではないことがすぐにわかる。
ケレン味たっぷりのカメラワーク、スピード感たっぷりで、まだやるかっていうぐらいくどい、そして迫力あるアクション・シーン。
この映画の見どころはそのあたりでしょう。
だからといって、ドラマがお留守かというとそういうわけではなく、復讐に燃える人たちの悲しくぎらぎらした表情もしっかり描かれている。
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『グリーンブック』の感想です。 (3/3)
1960年ごろというと、在日一世のわたしの祖父母は40代そこそこで、ふだんは主に日本語を使って暮らしていたが、この映画に出てくるイタリア移民のように、そのときの都合に応じて朝鮮語を使っていた。
なにかというと、近所に住む一族郎党集まって食事をしたり、小さい頃に見たような風景だった。
貧乏と無学というのが、イタリア移民のステレオタイプだったんだけど、そのあたりもいかにもありそうな感じに描かれている。
移民社会を描いた映画は、いつも興味深い。
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『グリーンブック』の感想です。 (2/3)
で、映画自体がつまらなかったら、上のような批判をして終わりなんだけども、幸か不幸か、映画としては実によくできてる。
脚本も演技もいいし、なにより音楽がいい。
ちょっとクラシック寄りのジャズ。
そのジャンル自体が、黒人コミュニティから離れたところで育った、シャーリーのアイデンティティを示しているようだ。
娯楽作品としては上出来だが、なにも突き刺さるものがないぬるい映画。
だからこそ、マジョリティも安心して見ていられて、ヒットしたんだろうな。
劇中、イタリア系のアメリカ人たちが、英語話者に聞かれたくない話をするときは、イタリア語に切り替えてしゃべりだすシーンが何箇所も出てくる。
1960年代は、まだこういう感じだったのかなぁ。
いまは、イタリア系だからといって、イタリア語しゃべれないよね?
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『グリーンブック』の感想です。 (1/3)
I have black friends.
これって、レイシストの言い訳の常套句だ。
この映画は、これをハートウォーミングコメディとか、楽しいロードムービーとか、そういうものに仕立てたわけ。
白人は、つねに選択する側にいて、自分はなにも脅かされない。
主人公のトニーは一見黒人差別をやめたように見えるけど、黒人の友達ができただけだ。差別意識を持ったまま、その対象と友達になることはできるし、いくらでもある話だ。
考えを改めて、差別自体をやめたことを示すシーンもどこにもない。
もちろん、この映画を見て、当時の黒人のおかれたひどい状況に憤りを感じたり、ドン・シャーリーのつらい心境に共感したりする人もたくさんいるだろう。
まあそれはそれでいいんだけど、悲しい状況を、物語として消費してるだけ、とも言える。
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『代立軍 ウォリアーズ・オブ・ドーン』の感想です。
荒野の七人、いや、それをいうなら七人の侍か、を彷彿とさせるストーリー。
とにかく、徹頭徹尾、イ・ジョンジェがかっこいい。炯々たる眼光、よく響く声、そして切れのいいアクション。
ヨ・ジングは、メソメソしてお姫様のようだったが、途中からの変貌をきちんと見せていた。
光海君といえば、王子の時代に、父王が逃げちゃった後を守って、実際に日本軍と戦ったのは有名な話なので、いずれそうなるのはわかってて見てるんだけどね。
ペ・スビンが、すぐにぶちきれて暴力をふるう役人だったのが、いままでのイメージとは違っておもしろかった。
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『スパイダーマン スパイダーバース』の感想です。
吹替版で。
当地では吹替しかやっていなかったので選択肢はなかったのだが、念の為、素人同然の声優は出ていないことを確認してからでかけた。
ストーリーは王道の青春もので、まあ予想通りに粛々と進行していく感じ。
そもそも、スパイダーマンというキャラクター自体が、主人公を若く設定してあるので、むかしのアニメと違って青春ものになってるしね。
とにかく、画面が美しく、動きの疾走感も非の打ち所がない。
唯一不満を言うとすれば、主人公の母親がまるで小娘みたいなルックスで、やたらと若く美しい母親という映画やドラマの慣例を踏襲していて、古臭い。
『ダンボ』の感想です。 (2/2)
このあたりは、ティム・バートンならもうちょっとなんとかなるでしょ、というないものねだりかな。
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『ダンボ』の感想です。 (1/2)
ティム・バートン風味は薄め。ちゃんとディズニー映画になっている。
ダニー・デヴィートが、ものすごくダニー・デヴィートなのに、役柄にあまりにはまっていて驚いた。
この人しかない、というキャスティングだよね。
エヴァ・グリーンの非日常的な美しさがすばらしい。
コリン・ファレルと子供たちのストーリーを新たに入れたにも関わらず、この親子の関係がなんかすっきりしない。
両親がサーカスのスターだった時代は、たぶんこの父親は、たんに父親であるという事実に甘えて、子供たちとのコミュニケーションは妻まかせだったんじゃないかな。
そのあたりのしっくりいかなさが描かれているわりに、「ダンボのためにがんばっているパパ」がすべての免罪符になってしまった。
で、エヴァ・グリーンが母親的に子供たちに接してるのも、都合が良すぎて興ざめ。
あと、せっかくサーカスという舞台なのに、フリークスへの視点があまり感じられなかった。
映画は劇場で見たい。韓国映画多めです。
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