『オデュッセイア』(米・2026)を9/28に上野TOHO CINEMAで。
冥界への船出が次の時代の始まりと重なる。強烈な白昼の太陽光と乾燥した大地というギリシャ映画の古典悲劇のイメージに対しての、辛気臭く寒々しい画面(1977「イフゲニア」とは大違い)、英語の台詞にはつまらなさを感じたが、しかしギリシャにはアンゲロプロスのような霧の風景も実際にはあることを思い出す。それに古典詩を題材にしているが、描かれている時代は古典期ではないのだ。しかしあっぱれな映像化でラージャマウリはさぞや刺激されたろう。気に入った、あるいは印象的だったところ:①「木馬の中で糞尿まみれになりながら好機を待つ」ところにも尊厳のかけらもない作戦だったことが活写される②「これ以降、物語は歌によってのみ語り伝えられる」➂「我々が生還することが死者への手向だ」と言って逃げ出す。全滅か、6名の死かの選択肢の中で迷わず後者を選ぶ④冥界の者たちとの会話のシーン⑤弓を鳴らすしきたり、鳴弦のようではないか⑥強弓を弾くことが英雄性の証明というインド神話味⑦アガメムノンの造形(生前/没後とも)。カラーコンシャスなキャストは気にならず。