ジョイランド わたしの願い鑑賞。 

素晴らしい作品だった。映像もストーリーも合致していて、納得できないことが一つもない。食卓の撮り方をはじめとして、映像から感情が具にわかる。男性陣の距離のある振る舞いに対して遊園地で見られたような女性陣の近さ、少しずつ削られていくムムターズの精神、ヌチが家族にぶちまける怒り、あるいは型破りなビバと彼女に惹かれるハイダル、その彼は家族のしがらみにがんじがらめで気も弱くて…、表現が全部良かった。パキスタンの映画ということで、国や暮らしが自分とはおおいに違っても、「自由に生きたい」の悩みとそこにかかる抑圧が全然遠くない。きっと誰にでもわかるんじゃないか、全然納得いかないことを飲み込まされて生きることの重圧は。

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ジョイランド わたしの願い鑑賞。続き。 

きっと家族の全部が嫌だったわけじゃない。だけど、妊娠が、本格的にこの家から逃げられなくなった絶望へと繋がってしまった。序盤の食卓と同じ構図がよその家族を入れる形を変えてもう一度あって、その時のいたたまれなさはちょっと笑えたし、なんならここで父親が家族の前で恥を受け入れるとかなんとかで柔らかい方向に向かうとかコメディ風な流れで丸くおさまるのかと思ったのに…。ムムターズの犠牲の上に成り立つ幸せ。みんなが知っていながら気づかないフリをして全部押し付けたから、壊れてしまった。ヌチが言及してくれたことだけが救い。
結婚してからも働いていい?それなら…と、最後に(あれが二人の始まりである)ムムターズの見せたあの屈託のない笑顔を持ってくるのもそつがない。本当にすごく良かった。ビバ周りのことなどもうちょっと書きたいけど、作品が良かったからこそショックも大きく、頭の中が整理できてない。たぶんそのうち感想を付け足す。

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