地獄愛 雑感
序盤でミシェルが語る母親との関係こそ、その後のグロリアと築いていく関係の原型。自分だけを選びありのままを受け入れその身を掴んで離さないグロリアは母親と対極の存在であり、おそらくミシェルの求めた母親像。一方グロリアは自分が注いだ愛と同じかそれ以上の深い愛を求めている。なにがグロリアをそうさせるのかまでは描かれてないように思うけど、そこがミステリアスで魅力的。2人は共依存し強い繋がりを築いていくけど、両者は多分全く違う景色を見ている。社会から孤立し激しく愛し合うのにどこまで行ってもそれぞれの孤独から抜け出せない地獄。良い邦題。今回のファブリス・ドゥ・ヴェルツはいつにも増して目!目!目!で強い眼力でこっちを見返してくる。余白を許さない画面掌握率99%で世界の中心である2人を描く。緩急のバランスにぐいぐい心持っていかれるし堪らなかった。無数に女がいる中で全員を殺すことは到底無理、そうして選んだ究極の愛と支配の幕引き。最高でした。