アポロの息子 vs ドラゴの息子
ロッキー4のノリで、ふざけ半分で観に行きましたが・・・完全に打ちのめされました。
ロッキーってこんなに暗い映画だったっけ?と思うくらいに、ドキュメンタリータッチに撮られています。中盤まで音楽はほぼなし。俳優の近くにカメラが常にあり、セリフも少なく、いちボクシング選手の苦悩を静かに撮っているという印象を受けました。(例えるなら、「レスラー」とか「ミリオンダラー・ベイビー」に近い?)完全に体感映画となっていました。全く新しいリアルなロッキーでした涙。
全く新しい映画にしつつ、かつ、一点の揺るぎなく「ロッキー1」の頃を彷彿とさせる「魂」を見事に描ききっていました。製作者がロッキーシリーズをよく分かっています。「スティーブン・ケイプル・Jr.」監督に対しては感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました!
アポロの息子 vs ドラゴの息子
!!!ネタバレ語り!!!
「お前はこの試合に勝てる。なぜなら、何故戦うか?お前にはわかっているからだ」
最後の試合でのロッキーの台詞だ。映画の中で、主人公は「何故戦うのか?」と常に問いかけられる。最初は「父親であるアポロのため」であったが、映画の中盤で、クリードはそこに意味を見出せなくなってしまう。
この答えはロッキー3の、名「エイドリアンの説教」シーン(笑)にある。ロッキー3ではとても分かり易かったが、本作では、クリードはハッキリと口にしないので解り難い。でもちゃんと映像で見せていく。
負けた後のどん底の中、夜中、ふらっとボクシングジムに行き、おもむろにサンドバッグを打ちはじめる。そこで彼は気づく。「ここが俺の居場所だ。」という台詞がある。つまり、「自分はボクサーだ」ということだ。「戦わなければ、自分は何者でもない」・・・と。つまり、自分からボクシングを取ったら、何者でも無くなってしまう・・・ということ。「何故戦うのか?それは自分の為だ。」と気づくのであった!
この辺りの展開は見事ですわ。ロッキー3のエイドリアンにかけてるところがホントに泣ける。