アポロの息子 vs ドラゴの息子
!!!ネタバレ語り!!!
本作、何が良かったのか?
まずなんと言っても、リアルなどん底が描けているところ。文字通り容赦が無い(最近の映画は、ちゃんと描かないからねぇ・・・)。第一線の試合の結果は、ある意味「負ける」よりも屈辱的でしょ笑。身体も心もコテンパンに打ちのめされ、主人公は塞ぎ込んじゃって一人でずっと苦しみ続けるんだよね。誰にも相談できず、話し相手がいない。まるでかつての不器用なロッキーを観ているかのようだった笑。この痛々しいまでのかっこ悪さに、思わず見入ってしまった。見事でした。「ロッキー1」に欠かせないのは「痛々しさ」と「孤独」。だって、彼にはポーリーしか友達がいないんだもの笑。「孤独で不器用で痛々しい男」がちゃんと描けていた。
ロッキーはどんなに打ちのめされても立ち上がる。後半の展開はその通りになっていく笑。トレーニングシーンでも、腹筋叩きまくったり、ランニング中に倒れて立ち上がる描写があったり、正に「分かり易過ぎ良い」笑。最後の試合で、クリードは倒されても倒されても立ち上がる。ロッキー4と同じじゃん!でもオッケー!それが観たかった!
アポロの息子 vs ドラゴの息子
!!!ネタバレ語り!!!
「お前はこの試合に勝てる。なぜなら、何故戦うか?お前にはわかっているからだ」
最後の試合でのロッキーの台詞だ。映画の中で、主人公は「何故戦うのか?」と常に問いかけられる。最初は「父親であるアポロのため」であったが、映画の中盤で、クリードはそこに意味を見出せなくなってしまう。
この答えはロッキー3の、名「エイドリアンの説教」シーン(笑)にある。ロッキー3ではとても分かり易かったが、本作では、クリードはハッキリと口にしないので解り難い。でもちゃんと映像で見せていく。
負けた後のどん底の中、夜中、ふらっとボクシングジムに行き、おもむろにサンドバッグを打ちはじめる。そこで彼は気づく。「ここが俺の居場所だ。」という台詞がある。つまり、「自分はボクサーだ」ということだ。「戦わなければ、自分は何者でもない」・・・と。つまり、自分からボクシングを取ったら、何者でも無くなってしまう・・・ということ。「何故戦うのか?それは自分の為だ。」と気づくのであった!
この辺りの展開は見事ですわ。ロッキー3のエイドリアンにかけてるところがホントに泣ける。