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ノマドランド

これがアメリカ人のリアルなのか。まさに「アメリカの今」って感じだった。日本のテレビ番組を通してだとわからないアメリカが描かれていた。

「ニューヨークはアメリカではない」と、アメリカ在住している人はよく言う。この言葉は、アメリカ人の大多数は、海岸沿いではなく、内陸に住んでいるということを意味する。そして内陸の地域は荒廃している。

いま、アメリカ人の大多数は荒廃した土地に置き去りにされている。

この映画、「置き去りにされた感」が半端なく描かれていた。

全てを市場に委ねてきた国の末路がこれか。年金が少ない高齢者は労働する。Amazonで働く。この映画を観て、労働者をこき使って酷い!とか思う人はいるだろう。しかしそれは違う。著しく違う。Amazonの労働が社会保障なんだよ。全てを市場に委ねるんだ。それがアメリカ流なのよ。

まぁでも嫌だ。これは嫌だね。これがアメリカ流なら、アメリカ流はダメだってことだ。

経済が成長し続けられるなら、アメリカ流でも良い。でも経済は成長し続けられない。

バケツトイレの車上生活は辛い。狭い車の中は嫌だ・・・。

@tacchan という、なんだか観ていると暗くなる映画なのか。

というとそうでもない。

この映画の基本路線は、ノマド超カッコいいぜ!だ。ノマドという生き方のススメ、みたいな映画。

そもそもさ。Amazonが奴隷労働を爆進してるのも、共同体が空っぽになっちゃったということも、10年前からわかってたことだ。資本主義の批判はもう終わってるんだ。批判している人たちは、結局のところ、社会を何も変えられなかった。資本主義によって何もかも壊されてしまった。いまさら批判したところでもう遅い。

色々あるけど、いま僕らが生きているのは、この壊された後の世界だ。

この映画を観ると思うのは、アメリカが経済的に強いとか、軍事的に強いとか、ITに強いとか言われるけれど、それはたまたまそうなっているだけというか、結果でしかないということだ。根底にある、アメリカの本当の強さというものが、この映画には描かれていた気がする。

それは何か?

アメリカの本当の強さとへ、あの広大な土地だ。どこまでも続く荒野。あの荒野がアメリカ人の根底にある精神性を育んでいるような気がした。

崩壊後の世界を楽しもうではないか!

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