『ワンハリ』のブルース・リー
町山智浩が以前語っていたところによるとタランティーノはブルース・リーがマンソンをやっつける映画を構想していたらしい。
タランティーノの嗜好を考えればそっちの方が自然で、じゃあなんでワンハリのリーがああなってしまったのかと考えると、一つはシナリオに意外性を与えるためなんじゃないかと。
8/8の事件当日に1カットだけリーのトレーニング風景が差し挟まれるので観る側としてはリーがシャロンを助けてくれるんだ!と期待する。リーと拳を交えたブラピが散歩に行ってしまうのもリーを現場に連れてくる伏線かなと思わせるところがある。
もう一つ考えられるのは物語の神話性を高めるためで、ブルース・リーは無敵の男という前提の上で実は彼と互角に渡り合った名も無きスタントマンがいたんだという、その夢物語のためにリーの偉大さをタランティーノは必要とした、説。
個人的にはシャロンの扱いもリーの扱いも不満でしたけど、ただそれは小馬鹿にしているんじゃなくて、単にタランティーノに配慮が足りないだけじゃないかなぁと思います。憧れの対象をオモチャにしてしまっていることの自覚があまりないというか…。