はちどり
あらすじ:1994年ソウルー14歳のウニは両親、姉、兄と集合団地に暮らす中学生。学校に馴染めず鬱屈した日々を過ごす中、塾に新任の講師ヨンジが着任する。
1987年6月29日韓国・軍事主義からで民主化宣言が発表された日から6年。まだ民主主義が浸透しきらず、家父長制度による厳しさが家庭に根付いている。
大事なのは「男」である事。父の重圧から兄はウニに暴力を振るう事で発散し、姉は放蕩ばかり。両親はウニに関心がなく無視。遊ぶのは他校の生徒だが、表面的な付き合い。唯一心を開けたのはヨンジだけ。
どこにも居場所がなく誰にも本音は話せない。そんな多感な中学生の感情をウニの目線で描かれるが、その感情さえもとても「涼やか」だ。
金日成逝去ニュースが劇中挿入され、その死去によってもらたらされた社会の変化。そして物語の重要素である聖水大橋の事故が起こる事で、ウニに訪れる変化。
ウニという主人公を通してこの時代に翻弄された人たちの静かだが、確かにそこには「怒り」が見て取れる。
韓国の一部だが歴史がよくわかる作品。