木の上の軍隊鑑賞。
そもそも無理なのだ。真剣に戦えって殴られて、竹槍で戦闘訓練なんてしている。どんどん爆撃されて、上陸されて圧倒的物量で押されているのに。逃げ隠れてやっとの思いで生き延びている人間が、平和な暮らしを絵空事と馬鹿にし、"勝つ"という理想を語る。現実が見えていないのはどちらなのか。敵の服を着て敵の残飯をあさって生きる、クスッと笑えるシーンとして挿入されるのは敵のガラクタを壊して味わう小さな勝利で。そんなの全然惨めだし笑えない、と安穏と生きる現代の私は思ってしまうのだけど。ゴミをあさることで、木の上の生活が豊かになっていく。戦争が終わったのを知らない彼らも、戦争が終わって日常生活が戻りつつある日本も、同じように(元)敵国の暮らしを受け入れて回り始めていて、木の上で暮らす間の気持ちもさることながら、降りた後も、どんな気持ちになったんだろうと、ずっと考えている。
現実がこんなに甘いわけがないからと、夢だと気づく。もう戻れない過去の自分と過去の景色、そこがめちゃくちゃ美しくて辛くて、この映画で一番好き。
#映画 #映画鑑賞 #木の上の軍隊