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聖地には蜘蛛が巣を張る鑑賞。
娼婦連続殺人と聞くとそこばっかり強烈に感じるけれど、むしろこんな事件が起こるような社会に対する視線が冷静かつ大層鋭くてしびれた。事件発生や捜査の停滞、そこに至る思想や社会構造が、やんわりと拒絶されたり、断ってもあからさまに迫られたり、ナイフを持ち歩いたりという、ラヒミの取材生活を通しても伝わってくる。敬虔な男・良い父親で良い隣人、そして"街を浄化する英雄"サイードも同様の距離感で描かれていて、怒りはもちろん感じるけれども、激昂というのではなく、冷静に理屈を積み上げている痛烈な社会批判という印象を受けた。
娼婦たちばかりが責められ蔑まれ、命まで奪われ、死んだあとでさえ恥とされる。そんな事件自体も重苦しい気持ちになるし、その価値観が無邪気に誇りとして受け継がれていくのもめちゃくちゃしんどい。

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