チネチッタで会いましょう鑑賞。続き。
面白かったのは、「結末=主人公の自殺が最初に浮かんだ」と言いながら、彼が自分の作品を絶望の映画だとは思っていなかったこと。「素晴らしい映画ですね!」の賞賛と共に絶望に関しての映画という評を受けて結果に困惑しているように見えた。反論も提案もスルーしてきたのに、自殺の撮影に至って「そんなはずじゃなかったのに!」が生まれる。その後の会食シーンでは、彼が許した途端、みんながすごい良い顔で堰を切ったように希望を口にしだした。それって今まで彼の聞く耳がいかにポンコツだったかってことで、ここで初めて人の話を聞けるようになったのかもしれない。
そもそもが彼の思い込みだったにしろ、撮影が始まる前までは何もかもうまくいっていた人生が、何もかもうまくいかなくなった。何もかもうまくいかなくなった主人公にジョバンニが用意した結末は自殺だった。だから、自分の世界に他人のビジョンを取り入れ、リアルやノスタルジー、史実へのこだわりを曲げて、作品の主人公も自分も救うエンドがあまりに力技で笑ってしまった。何でもかんでも他人の意見を取り入れることと、それが良い映画になるかは別だけれども。