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正欲鑑賞。 

人と違うから擬態しなくちゃいけない。自分は他の、普通の人と違って、明日生きていたい人じゃない。というのは、私の生きていたくなさを詳らかにされるようで非常に居心地が悪い。これを見たところで、分かり合える人が見つかる人は良いよなと拗ねた気持ちになって、「なぁんだ、生きづらい人なんてまあまあいるし、いていいんだな」と楽になる気持ちまで微妙に行けてない、かも。
水の中に沈んでいるような、世界と自分の間に水の層があって、外界の音がぼんやり聞こえるみたいな孤独ってわかるよ、と思ってたから、水が性欲に直結してる(水の音は孤独ではなくて安心なんだろう)ってのはちょっとレベルが高くて意味わかんないけど、"普通"の人にはなれないと実感しているのにそれでも生まれてしまう、正しく"普通"でありたい欲が、タイトルの「正欲」ってことなのかな。全部捨てられたら楽なのにね、生きづらいよなぁ。

正欲鑑賞。 

そういう共感はあるんだけど、どうしても嫌な部分もある。普通と違う佳道と夏月は「いなくならないから」で通じ合うのに、普通であった啓喜の家族がいなくなろうとしているという結末を思えば、"普通"なんてないのに。っていう方向なのはわかるんだけど、そこまで語ってきた"普通じゃなさ"を小児性愛、明確に人を傷つけている犯罪と引き比べるのはフェアじゃないと思う。

あなたに信じてもらわなくても存在しているは、みんなそうだし、みんな誰に対してもそう思い合えるといいね。

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