大分前に観た『ゲット・アウト』
ずばり、黒い『ステップフォード・ワイフ』!黒人の写真家のクリスが白人の恋人ローズの実家で起こったレイシズム・スリラー。 この恋人の家族は全員白人で、特にローズの父親は黒人に対しては「オバマが3期目も出来るなら投票する」というぐらいオープンマインドを示しているが、終始どこかぎこちない。そしてなぜか管理人とメイドが黒人で、これまた不気味な雰囲気。ローズのお爺さんのパーティーも白人だらけで、その来客者たちがクリスと話せば表向きはクリスを持ち上げるがやっぱりどこか不気味。この「何かおかしい」という雰囲気を黒人・人種に対するリベラルを皮肉り、見事にスリラーに仕立てている。
この中でもある主要人物については完全にだまされた! とだけは言う。スリラーのタイプとしてはM・ナイト・シャマランの『ヴィジット』が一番近い。影響は受けたかはさだかじゃないが、全編曇り空と不気味な雰囲気はいい時のシャマラン映画と見てもいいかも。ちょっと過剰演出だけど、型そのものはニコール・キッドマン主演の『ステップフォード・ワイフ』をヒッチコックの系譜に仕立てた見事なスリラー!
ちなみに、『ブレードランナー』にはあんまり思い入れはなかったが、『ブレードランナー2049』はそれでも十分に面白かった。
え?前作を見ての復習?
普段、映画を観てればそれで十分補えるよ。
それが映画経験ってもんだぜ。
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『ブレードランナー2049』
主演のライアン・ゴズリングの起用はお見事。かつては『ラースと、その彼女』で童貞を、最近では『ラ・ラ・ランド』でせつなさを見せた彼ならではのレプリカントで、アナ・デ・アルマスが演じるジョイとのやり取りは『her その彼女』の進化系。
また、『スクランブル』のアナ・デ・アルマスをはじめ、シルヴィア・フークスやカーラ・ジュリ、マッケンジー・デイヴィスなどこれからの映画界を背負いそうなディーヴァたちの見本市でもあり、あらゆる意味で未来に向いた映画である。
『ブレードランナー2049』
本質は“記憶”、“本物”、“経験”、“感情”、“五感”⇔人造人間(レプリカント)にある。延いてはヒューマニズム、人間らしさであり、その対極にレプリカントがある。
劇中である重要人物から想像した物により記憶や経験を形成するとあるのは、これこそ正しく映画を観る側の真相心理ではなかろうか。
単なる郷愁に頼らず、『灼熱の魂』、『複製された男』、『プリズナーズ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督らしい前作『ブレードランナー』からの新たなる一歩、新たなる味わいを与えた。この味わいを感じることこそ、この映画を観た意義になる。
これから『ブレードランナー2049』を観る人は『ブレードランナー』を見て復習するよりも『灼熱の魂』と『複製された男』、『プリズナーズ』、あとライアン・ゴズリング主演の『ラースと、その彼女』と『ラ・ラ・ランド』を見た方がこの映画の本質が掴める。
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『ブレードランナー2049』、なるほど。良くできてる。この監督と主演の起用がよく分かる作品で、真の意味で“映画”だった。