『バーニング 劇場版』(3回目)
ストーリーを「罪悪感/うしろめたさ」で見るというのは前回出来て、今回はヘミが前半のジョンスとの食事の時に見せたパントマイムとアフリカの民族の「リトルハンガー」と「グレートハンター」の意味を加えるとさらに深味が増す仕掛けになっている。
そこから、ジョンスのヘミ留守中の猫の餌やりのシーンで「姿を見せない猫」と後半のベンが燃やしたというビニールハウスの件とベンの部屋で猫とジョンスがヘミにあげた腕時計が見つかる件である。そこからジョンスも映画を見る側もそれぞれの状況証拠から「ある出来事」を推測してしまうが、これらはあくまでもジョンスの視点であり、猫も時計もジョンスの思い込みの可能性が高い、ということ。
ジョンスもベンに直接訊いちゃえばいいのに妙なコンプレックスからか、思い込みから状況証拠で断定に行く。
やはりイ・チャンドンの作品としては過去作より序盤から中盤へのインパクトの弱さと、繊細かつ意味深だが中だるみとも感じえる中盤の展開からどうしても引っ掛かる。生活臭も確かに感じる。ジョンスが見つめる父親の罪などらしさもあるがもう一歩踏み込んだものが欲しかった。