『心と体と』
ハンガリー映画で去年のベルリン国際映画祭の金熊賞作品。
エロい恋愛睡眠映画にして繊細。
鹿になる夢、職場の屠殺場&食肉加工工場の風景とそこに渦巻く人間模様、そして初老でバツイチのくたびれた工場の財務部長エンドレと綺麗だけど神経質&アスペルガーなアラサー女マーリアのヒューマン、恋愛。
不思議ちゃんマーリアと初老のエンドレが少し意識をする関係になったのが同じ夢を見るという現象だが、これがシュール。夢で恋愛という構造自体はミッシェル・ゴンドリーの『恋愛睡眠のすすめ』や『エターナル・サンシャイン』でもあったがそれよりもリアリティー。かつ、つながる、現実とは違う自分になるという発想は『アバター』や『レディ・プレイヤー1』をちょっと彷彿させつつ、動物変身願望は『ロブスター』などいろんなものがダブる。
ストーリーの展開そのものは工場内の人物相関、ある事件、色恋模様とシンプルだが飽きない。屠殺場&食肉加工工場というブルーカラーの世界だが必要以上に悲壮感や悲哀はないが、動物の屠殺に『いのちの食べかた』的な物を感じたり、色恋ごとのみに興味が集中する職場に動物的なものを感じる。