『最初で最後のキス』
イタリア発の高校生男女三人の青春映画。ゲイのロレンツィオが彼氏がいるJKのブルーとバスケット少年のアントニオの学校にやってくるが、奇抜なファッションやゲイと分かる雰囲気から学校で浮きまくるが、同じくはみ出し者のブルーとアントニオが仲良くなり、校内で歌って踊っていたずらをする。
大枠は60年代のフランス映画『突然炎の如く』に80年代の青春映画『ブレックファストクラブ』を混ぜ、「glee」風のダンスやレディ・ガガの「Born this new」を大胆にまぶす。
ハイスクールもの特有のスクールヒエラルキーも使い、ロレンツィオを中心に高校生の恋愛、恥じらい、イキリ、悪ふざけなどエモーションを繊細に表した脚本が秀逸。
特に精神的にも未完成で気後れがちのアントニオの気持ちと惑いはストレートかつ思春期の青年そのもの。
それぞれのキャラに精神の支柱があり、これが揺らぐ、崩れた時の言動がリアリティーかつ残酷。
古典に通じながらも確実に新しいイタリアの青春映画だった。