『パターソン』に永瀬正敏が出てるのは『リミッツ・オブ・コントロール』の工藤夕貴の起用と同様のものを感じる。
つまり、『ミステリー・トレイン』のつぐないで、このカップルに『リミッツ・オブ・コントロール』、『パターソン』のそれぞれで知的な役をやらせている。
『パターソン』は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の系譜とも言われてるが、ボクから見れば処女作『パーマネント・バケーション』の応用で、これに『ゴースト・ドッグ』と『リミッツ・オブ・コントロール』で見せた行動のパターン化を加えている。主人公パターソンが妙にアナログだったり携帯電話を持たないのも『ゴースト・ドッグ』や『リミッツ・オブ・コントロール』に通じる。
結婚や家に誰かが来る、旅行などがなく、老人がでない点などにおいて『晩春』、『東京物語』、『彼岸花』、『秋刀魚の味』以上に日常を描いていて、小津映画にさえあった日常における引っ掛かり・興味ごとを排除し、徹底して仲が良いパターソン夫妻の日常を描いたことで小津安二郎でさえ描けなかった・描かなかった究極の日常映画を作り上げた。
これジム・ジャームッシュの極意なり。