『リチャード・ジュエル』、安定のイーストウッド実話実録もの。イーストウッド版『それでもボクはやってない』。
名も無きデブちん警備員が一夜にしてヒーローになるもその翌日には全米の敵になるからさあ大変。デブ警備員&やさぐれ弁護士vs冷酷なFBI&無能なマスメディアという前者圧倒的不利な戦いを丹念に見せる。
ポイントはサム・ロックウェル演じるやさぐれ弁護士で全方位に毒づきながらも生真面目なリチャードへの優しい眼差しはイーストウッドの代理そのもの。そんな中でも時折FBIの手口に乗りそうになるリチャードさんの危なっかしさとイケイケどんどんな美人記者キャシーの出世欲と愚かさ。
筒井康隆の「俺に関する噂」のネガティブ版とも。
全米でバッシングされちゃうリチャードさんはいまならさながらSNS炎上マンで、現代 は強い。
序盤の警備員リチャードさんの働きぶりもアメリカの警備員にありがちな動き、途中で警察を経験した警備員の危機管理能力を忠実に再現した辺りはイーストウッドの リサーチ能力の高さを表す。