『ハウス・ジャック・ビルト』3回目②
パンフレットを見るとプロダクションノートに色々とヒントがある中で、ラースは基本的に最近の映画を見ていないらしい(ただし、キャストイメージはキャストが出演した過去作品からの影響はある)。むしろ、デンマークの大先輩カール・ドライヤーやアルフレッド・ヒッチコックの影響下で塗り固めながらも決してありふれていない、ラース独特の作品に仕上がっている。マット・ディロンが演じるジャックが『サイコ』のノーマン・ベイツっぽいだけでなく、『ロープ』や『ハリーの災難』の死体隠し、第1と第4の被害者が金髪の美女、『裏窓』風の建物のカットなど、ヒッチコックらしさがいくつか見られる。これまで、いままでのラースの作品ではドライヤーの影響はいくつかあったが見えにくかった(あったかもしれない)ヒッチコックの影響がくっきりと感じられる。
ヒッチコックの『サイコ』をはじめ、『裏窓』、『ハリーの災難』、『ロープ』、『疑惑の影』など、ドライヤーの『吸血鬼』辺りを見直したいな、という衝動にかられそう。