『ビューティフル・ボーイ』
昔、『スパン』を見た時、『トレイン・スポッティング』へのアメリカからの回答かと思ったが、今度こそ真の『トレイン・スポッティング』へのアメリカからの回答、と言える映画だった。
音楽ジャーナリストとして成功を納めた父ディックの息子ニックがまさかのドラッグ中毒。これを父ディックの視点ともがき苦しむ息子ニックの視点で描いている。
『トレイン・スポッティング』や『スパン』、さらには『ドラッグストア・カウボーイ』といったいわゆるドラッグカルチャーを取り扱った映画は色々あったが、これらの映画とこの映画の最大の違いは主人公を取り巻く環境にある。
バツイチ、再婚者ではあるがジャーナリストとして成功しているディックの家庭は何不自由なく、どちらかと言えば余裕のある家庭。父親からは溺愛というぐらい愛され、趣味の音楽、サーフィンなども共有し、6つの大学に受かる言わば優等生。住んでるサンフランシスコ郊外も景色も住み心地も悪くない。
比較的幸せな生活を送っていたニックの唯一の汚点がドラッグで、どんなに幸福な生活でも薬の悪の魅惑に墜ちるサマが凄まじい。