『ダンボ』②
旅周りのサーカス団という題材がいかにもティム・バートン向き。
これまでにも『ビートル・ジュース』、『シザーハンズ』、近作では『ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち』など奇形とか世の中に虐げられた者たちを題材にすることがあったが、
『ダンボ』も耳がでかくて笑われる小象と虐げられる者(動物)が対象である。
そして、サーカス団員も同様。
そんな見世物小屋から誰もが楽しめるエンターテインメント/ショー/レジャーの世界に移ろうとする辺りは100年前のアメリカの自然の流れだと思えるし、時代の変わり目をも描いている。偶然ながらヴァンデヴァーがメディチ・サーカスを吸収する辺りは今でいうM&Aで現代的だったりする。
出て来た時はツンデレっぽいエヴァ・グリーンが演じるコレットも1910~20年代のチャップリンの映画に出てくる女優っぽく、ぴったり。彼女の存在が一服の清涼でどこまでも大人が見て楽しむ仕様になっている。
『アリス・イン・ワンダーランド』が変化球的な描き方だったのに対し、『ダンボ』は比較的直球だが、ティム・バートンらしさ満載、健在を思い知る作品だった。