「トップ・ハット」で一番好きなのはミュージカル場面でなくて、ロジャースがアスレアを友人の夫だと勘違いしてしまう場面。ホテルのフロントの人に「あそこ(二階)にアナタの尋ね人(友人の夫)がますよ」と言われたロジャースが、その方角を見るんだけど、シャデリアが邪魔でうまく見つけらない。で、彼女が見える位置まで移動する間に「友人の夫」は、彼を呼び止めたアステアに代わってるというところ。ここから彼らのすれ違いが始まるわけなんだけど、でも「ほんの少しいる場所が違うだけで、或いは、一歩足を踏み出す方向が違うだけで、その人の世界は違ったものになる」ことを視覚化してくれた感じがして好きなのです。それは恐ろしいことでもあるのだけど、でも「それも含めて世界の豊かさなんだ」といわれてるような気がしてねぇ(現実にはありえない場面と思うけど)。