『アクションヒロイン チアフルーツ』第2話
いや、マジ面白いよコレ!今期どれかと一本と言われたらこれを迷いなく挙げます!
黒酒路子(なんちゅー名前だw)の帰宅から“自室”までの説明のなさも最高だが、人によっては拒絶反応も出やすい内省描写をトンラスフォーム電車くんたちに先回りしてツッコませることでシュールな一人相撲喜劇に転換させてるのが上手い。
とにかく視聴者へのストレス回避対策がそのまま展開の読めなさという面白さに繋がってるからたまらない。流石は荒川 稔久作品!
杏と美甘を一旦、狂言回しに回すことで(2話でこの構成はかなりリスキー)主人公不在ではなくショーに関わる全員の物語であること示し、チープさを味方につけて演出に盛り込むショーの描写で、ショーそのものの成長劇であることも伝わってくる。いや~、よく考えられてますわ…。
『ジョン・ウィック チャプター2』
因果律の要素を受け継ぎつつ「もう、ほっといてくれ…」という男の心情を殺戮アクションという「主観」で描き切った現代の『拳銃王』。
前作よりスキルアップした筈のアクションも元来のもっさり感を醸し出すキアヌ・リーヴズの肉体を借りるとドン臭さが買ってしまう不思議。そして、それが全くマイナス方面にならず「引退したいがためにどんどん戦場に身を委ねなければならない男の不条理劇」とマッチした気だるさとやるせなさで作品を包む不思議。
不条理とアクションの申し子であるバスター・キートンが冒頭のビル街に映し出されるのもさもありなん。コモンやルビー・ローズのやりきった姿がキアヌのアクション映画の主人公とは思えないラストの“余裕ゼロ”な疾走をより強調していて悲喜劇としても秀作。
それにしてもライブステージでキアヌが刺客を撃ち殺した時の観客歓声場面の何と素晴らしいことか…。これこそ映画の殺人。スクリーンの殺戮に拍手を送る観客そのもの。背徳的かつ真っ当な描写。かつて007にあった輝き。
心霊DVD『ほんとにあった!呪いのビデオ 73』
前作で予告されてた魔術堂 kator(カトール)氏に加えて、前作の投稿者や「わたし、常識ないんで」と妙に好戦的な舞木氏、今回“も”酷い目にあう寒川氏と取材班のキャラの充実ぶりに大興奮。彼らが参戦していく「おくりもの 中編」序盤の盛り上がりは、大袈裟な言い回しをすれば『七人の侍』や『アベンジャーズ』に匹敵する。
相変わらず単発系のレベルが高くて嬉しい。現時点ではドローン撮影系の最高傑作なのでは?と思わせる「花火の上」。「夏合宿」と「民宿」の尾を引く気味悪さ。モノクロ画面の強みを見せた「復元」の(恐らく)CG火災描写。
素人臭い撮影描写のわざとらしさと、同じ位置でパンする度に映る霊のやり過ぎ感が楽しい「サプライズ」が個人的にツボ。
『忍びの国』
『ヒメアノ~ル』を含め、非人間的役柄を自然体とは名ばかりの演技してないお兄ちゃんにやらせて、新境地っぽい雰囲気を作るジャニーズ映画にはやはり乗れず。
アクションや残酷描写(原作に比べればヌルい)を見て「アイドル主演なのに冒険してる」感を出すいやらしさには、自然体の演技にも似た野心と怠慢への不快感が募る。
大野智を動かす石原さとみの支離滅裂さも酷くて、完全に脚本の奴隷。原作者自らやってるから救いがない。中村義洋との相乗効果かラストの説教臭さが原作より増してるし…。
こういう企画を作家性の強い監督に持ってくる平野隆氏の姿勢やアクションへのキャスト&スタッフへの熱意は応援したいんだが…(実際、その部分は面白いし)。
シネフィル