京都文化博物館で、『近松物語』4Kリマスター版。溝口生誕120周年のシンポの一環としての上映。
一番印象に残っていた琵琶湖畔(?)での香川京子の着物の照り映えについては今回は不思議に感銘しなかった。目ざましかったのは音のクリアネス。その後のパネラーによる各種報告も含めて圧倒的充実。公開シンポだが、一般向け講座ではないので、以下のようなことに対しては一切解説がなかった。①大経師とは何か②磔刑とはどんなものか③登場人物たちの身分とその内実:町人、公家、武家、百姓④元禄とはどういう時代か⑤大店のお取り潰しにまで至る姦通罪の重大性とその性別による不均衡etc。細かいところでは、以春が炬燵に腰かけるシーンとか、また小判を敷き詰めた菓子折を作るところとか。こうしたものについては参加者は既に知っているものという前提で話が進んだ。翻ってインド映画研究はどうかというと、上の①―⑤の解説は少なくとも日本では絶対必要なんだあ。それは研究というよりは解題なんだが、それをやらんことには話が進まないんだから仕方ない。特に日本では。しかしインドでの研究にしたところで「そこから先」が追及されたものがどれだけあるか疑問。