Odiyan (Malayalam - 2018)を川口スキップシティで。
何というか、まとまり切らない切れ切れの感想が脳内を渦巻く大作。こういうの久しぶり。おそらくは部族の血をひくのであろう黒魔術師の家系に生まれた男が、術殺の嫌疑をかけられて共同体から追放されるが、殺しの真相を明らかにするため15年ぶりに戻るという話。その黒魔術ってのは動物に化けたりするものなのだが、基本的には依頼を受けて被害者の脅かすだけのもので、報酬も酒瓶一本という程度のもの。この辺りのおどろおどろしさの抑制が低評価につながったのかも。しかし普通に考えたら笑っちゃうしかない牛面の着ぐるみをあのスタイリッシュさで撮る技術に唸る。同時に結ばれることのない名家の女性への恋慕心も描かれて、このあたりが芝居としての見せ場。モーハンラールとマンジュの合計100歳超のラブ・デュエットの美麗さには絶句する。夜は全てを美しく包み込むのだ。何度も行ったことのあるテンクリッシが舞台というのに吃驚(ただし実際のロケは明らかに別の場所)。おそらくは1970-80年代が舞台。携帯電話のない世界というのは愛おしいものだと改めて思ったのだった。