四方田犬彦『原節子と李香蘭』を読了。
この二人が同年の生まれとは知らなかった。そしてまるで鏡面像のように対照的な人生行路をたどったことも。出来すぎた映画のストーリーのよう。見たい映画のリストがまた大増量してしまった。特に満映のくだりが興味深かった。五族共和のイデオロギーのもとで寄せ集められた3流技術者のふきだまりだった創始期から、本土東京よりもリベラルな作品が作られた後期まで、興味深いことこのうえない。資産を接収した中国政府の方針によって、いまだ研究のためにフィルムを含む遺物が公開されていないのだとも。