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Yavanika (Malayalam - 1982)をDVDで。 

タイトルの直訳は「緞帳」だが、意味としては「劇終」なのだという。歴史的な名作とされる殺人ミステリ。しかしその謎解明のプロセスは、死体発見現場に容疑者のイニシャル入りキーホルダーがあったとか、凶器の酒瓶を接合したら一片だけ抜けていたかけらが別の場所で見つかったとか、捜査の結果として順当に証拠が見つかったというの素朴極まりないもの。これは他のケーララ製「ミステリ」とも共通している。主眼はあくまでも心理の綾を描くことにある。ヒロインであるジャラジャの繊細さとか弱げな雰囲気には心打たれる。けれど衆目の一致する通り、演技で飛びぬけていたのはバラト・ゴーピの演じる悪役的被害者。巨悪ではない、けれど壊れきっていて手の施しようもない悪役を異様な迫力で演じた。ミステリとしての物語の構成上は、死体になることにしか意味がない存在であるにもかかわらずだ。つまりやはりこれはミステリではないのだ。そして当時の舞台劇(見たところ左翼系ではないようだ)の克明な記録が大変貴重。演劇界を扱った映画作品としてこれはNadanとセットにして見られるべき一本。

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