Ee.Ma.Yau (Malayalam - 2018)をDVDで。
注目のLJP監督作品。全編の半分が夜中、残りがモンスーンの驟雨の中というダークな作品。それを超絶のカメラワークで見せる。前年に映画祭上映され、今年になって劇場公開されたという。その点を取り上げると、よくある芸術映画のお仲間になりそうだが、やはり何かが違う。この感じを言い表せる語彙をいまだ見つけられない。http://www.opendosa.in/three-tight-whacks-and-the-book-of-avarna-revelations-in-ee-ma-yau/の晦渋な長文レビューを読むと、これがいわゆるダリト映画の流れに連なるものであることが細かく検証されている。少なくともLJP監督は初期二作を除けばクリスチャンというカースト(信仰ではなく)のポートレイトを描くことを一貫したテーマとしていることは明らか。そして、美男美女が一人もいない、リアリティ溢れるキャスティング。特にヴィナーヤガンが友人思いの苦労人&常識人を演じているのが凄いと思った。s百のチェンバン・ヴィノードの、最後に見せる感情の暴発は、ソール・ベローの『この日をつかめ』を思い出させるところがあった。もちろん、類似はそれ以上の意味を持たないのだが。ともかく、昆虫の観察日記風のきわめて醒めた人々の生態の描写と、ラストシーンに代表される超越的な何ものかを暗示する神秘的なシーンとのミックス具合が、脳のいつも使わない部分を刺激する、としか今は言いようがない。少なくとももう一度見なければいけない。