『スターリンへの贈り物』(The Gift to Stalin/Подарок Сталину)をTUFSシネマにて。英語字幕付き。
2008年のカザフスタン映画だが、大部分の台詞を同国の公用語であるロシア語が占める。カザフ語は国家語という位置づけ。通常のTUFSシネマと違い、上映開始前に15分ほどのレクチャーという変則。ネタバレにならずに必要な基礎知識を開示するのにはかなり神経を使ったと思うが、ありがたかった。多元的な文化の中でのユダヤ人少年とカザフ人イスラム教徒老人のバックグラウンドを超えたふれあいという、見る前から想像がつくテーマとは別に、本作にはもっとショッキングな要素があるのだが、最後の瞬間まで予測しておらず、やられたという感じ。劇中であからさまに予告するイメージが一瞬現れるのだが、シュールな感じに却って目隠しされて気づかなかった。ドゥンガン人と呼ばれる回族の存在に目を見張る。否応なしにニキータ・ミハルコフの『ウルガ』や昨年見た『河(草原の河)』を思い出した。前者は内モンゴル、後者は青海省で、随分と大雑把な類推であるのは分かってるけど、草原を舞台にした映画は今のところ外れなし。