フォロー

Jalsaghar (Bengali/1958)を渋谷ル・シネマで。 

邦題は『音楽ホール』。平日午後ながら半分程度の入りだったか。ベンガル文学の大家のO先生の指摘で、成り上がりのガングリが主人公に対して呼びかける言葉が最初と最後とで違っているというのがあり、聞き分けようと思ったけどできなかった。貴族階級の没落譚として最も鮮烈に思い出されたのはヴィスコンティの『家族の肖像』(1974)だった。同作が階級全体としての没落とデカダンを描こうとしたのに対し、レイは個人の内部の葛藤、執着、意地を物語る。本作でもまた象徴表現はとても分かりやすい。蝋燭の炎、飲み物に落ちる羽虫、肖像画を這う蜘蛛、風で倒れる舟の置物など。撮影地のNimtita Rajbariは今日のバングラデシュ国境付近で実際にガンガーに面し、現在も遺棄されて凄惨な姿。劇中の音楽は全てムガル宮廷音楽の流れをくむもので、ベンガルのヒンドゥーのザミンダールでも教養としての音楽はそういうものなのか。そしてCharulathaに続き、音楽をフルコーラスで聞かせようとするレイの姿勢も印象的。エッジの立った構図の連続に美術家としてのレイの面目躍如。

ログインして会話に参加
映画ドン-映画ファン、映画業界で働く方の為の日本初のマストドンです。

映画好きの為のマストドン、それが「映画ドン」です! 好きな映画について思いを巡らす時間は、素敵な時間ですよね。