『国宝』(2025)をTOHOシネマズ西新井で。 

限定的な日本語字幕付きの上映。ともかく字幕に感謝。長唄だけでなく、舞台化粧の主人公2人を見失いかねない箇所もあったので。慣れてくればこの2人の違いは分かるようになるが、何としたことか、女性キャラが時々分からなかった。特に主人公を長崎から追ってきた幼馴染の女性がなぜ途中からライバルの方とつながるのか、その辺りの描写が不足。原作を読めばわかるのだろうか。様々なレビューが指摘するように、化粧を落としたパートの人間ドラマは限りなく薄い。特にホテルの屋上でのシーンは厨二っぽいありがち感(画家が自分のカンバスを破るシーンに似てるかも)。田中泯演じる女形の人間国宝の台詞がどれもいい。主人公の美貌を呪いと看破するところ、引退後にうら寂れた小部屋で「ここには美しいものが何一つない」と言うところ。それから主人公2人がリハーサル後に舞台上で寝転んで、何かが見ていると言うシーン。これこそが本作のエッセンスと思った。自分よりもはるかに年下で、オフを見ても最近のニーちゃんとしか思えないだろう俳優たちが、スクリーン中ではキチンと仰ぎ見られる存在になっていたことに感銘。

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『国宝』(2025)をTOHOシネマズ西新井で。 

屋上シーン以外で気になったのは、「その美貌が仇となる」の名セリフがその後のストーリーの中で活かされなかったこと。それから最終シーンで特器になったのはステージの上の音楽に、現代西洋音楽である劇伴が被さって、何となく情緒的にその場を「回収」してしまうところ。古典系の芸道ものの常套手段(「花、香る歌」とかでもあったな)ではあるけど、やはり好きになれない。原作に忠実に映像化するとなれば連続ドラマになるしかないと監督は言っていたが、ラージャマウリなら前後編6時間の二部作にしていたと思う。オフではペラッペラ、見かけがシュッとしているだけが取り柄というタイプに見えた2人のイケメン俳優が、(韓流並みに)スクリーン上で演技者としてのプレゼンスを示したのは驚きだった。

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