Santosh (Hindi/2024)をヒュートラ有楽町で。
気の滅入るようなリアリズム。北インドの田舎町。サントーシュの夫はムスリムが多い街の暴動の鎮圧に臨み投石で死亡する。恋愛結婚だったので夫の家族から疎まれ自立の道を探り、警察官になり、ダリトの少女のレイプ殺人の捜査を担当する。彼女の姓のシャイニはOBCに多いものだが、これは夫の姓なのか旧姓なのか。彼女が終盤で訪れる地主の家で男たちが彼女の名前だけでは満足せずに姓を問いただす場面がある。上官のシャルマ―は婆羅門か。彼女が入った警察官舎の部屋を居心地のいい別の部屋と取り換えるために身の回りの雑事を要求する署長などなど、チクチクと嫌なことが積み上がる。サントーシュはダリトの少女の家で出された水を飲まない。その村ではしばしば動物の死体が井戸に投げ込まれる。少女の携帯に残っていたメッセージから怪しいムスリム少年が浮かび上がる。すべてにおいて杜撰なインドがぐわっと迫ってきて、またほとんどすべてのことがあるある過ぎて欝になる見事な構成。上司であるシャルマ―警部の、面倒見がよく、タフな現場責任者だが、組織の中では従順なキャラクターの造形が見事。