Amaran (Tamil - 2024)をイオンシネマ市川妙典で。
インド人を中心に30人強ほどの客入り。鉄兜ものという以外予備知識なしで見て、実在のタミル人将校の伝記映画だと知る。映画内言語としては、タミル/マラヤーラム語は方言のレベルで入り混じり、登場する人々は難もなく理解し合う。ヒンディー語やテルグ語もタミル語字幕なしでそこそこ出てくる。カシミール人とのやり取りで緊縛した戦闘シーンになると現地語の上にタミル語を被せる方式と都合よくタミル語を話せる奴の登場とでしのぐ。慣用句を連ねたような鉄兜ものだが、作劇は緻密で、カシミールでの作戦行動にも一定のリアリティーがある(実話だからか)。軍国の母/妻を演じたサーイ・パッラヴィも型通りの脚本の中で見事な演技。新進パラニサーミ監督はサウス伝統の能天気カシミールものを恥じて北インド人にも見せられるようなものを作りたかったんだろうか。ただ外国人の共感を得られるかというと難しい。相手をパキスタンではなく国内のミリタントとしたところが問題をはらみ、例えば投石者たちを民間人だが足を引っ張る者としか描けていない。それが軍人にとってのリアリティーだからだ。