Maharaja (Tamil - 2024)をキネカ大森で。
満席。タミル人は7~8人か。VJS50として満を持して封切られ、現地でヒット街道驀進中。慎ましい床屋の男が不条理な事故で妻を失う。辛うじて娘が助かったのは事故現場にあった鉄製ゴミ箱に守られたため。そのゴミ箱にラクシュミと名前を付けて神像のように祀っていたが3人の強盗にそれを盗まれたとして警察に届け出をする。警察は相手にしないが、馬鹿力で暴れるために、やむなく捜査するふりをする。この男が連日警察署に通ううちに徐々に秘められた過去が明らかになり、3人組の犯罪の真実が露頭し、彼らは一人一人男によって殺される。いわゆる叙述トリックを使った(それもダブルで)リベンジ・スリラー。「浄め」あたりから始まって、流行とまでは行かないものの、以降何本か見た。バイオレンス度は平均よりもやや上という程度だと思うけど、少女への性犯罪と絡めると陰惨なものになる。同じく流血の多い悲惨系タミルニューウェーブでも、Angadi Theruとかの頃のものには古典悲劇的風格があった。本作は監督の才気を見せたい気持ちが勝っているように思えてうそ寒い気持ちになった。