Kadaisi Vivasayi (Tamil/2022)をオンラインで。
文芸調の田舎映画。農本主義ユートピアへのあこがれをムルガン信仰と絡めながら描く。風光明媚な農村が舞台だが、多くの村人が離農してしまっている中、頑固に古式の農業を続けている老人が主人公。農地を売り、象を買った住人は象の儀礼参加で稼ぐ。売った土地では都会人の手でオーガニック・ファーミングが行われているという皮肉。老人が理不尽な理由から逮捕・拘留されるなか、意図することなく周りの人間を感化していき、伝統的な村祭りを復興するまでを描く。そこにアラヴィンダン映画を思わせるような不思議な稀人(老人の孫世代の親戚)がムルガン巡礼の中でふらりとやってきて飯を食っては去っていく。舞台のウシランパッティはマドゥライとテーニのちょうど中間のところで、画面にはパラニを思わせる巨石が写り、Sacred Rockと称されている。とても美しい一片なのだが、タミルニューウェーブのラウなあの感じとも、バーラティラージャーのヴィレッジ・シネマとも違う小綺麗な印象。VJS演じるラーマイヤが死んだ恋人が見えていて同行しているというのは旧作からの引用か。