翔んで埼玉(2019)をNTFLXで。
要するにここ2~3年の汎インド映画化みたいなのが気に喰わなくて、それで失われてしまうものを言語化する助けになるかと思って観た。原作は1983年、バブル時代の「トレンディー/ダサい」の対立項をパロディー化したものなのだろうけど未読。田中康夫『なんとなく、クリスタル』は1980年、そういう時代だ。漫画的なのは原作が漫画だからまあ許容。ポリコレ系の視点で見ると、農業・漁業がダサいもんの筆頭にあるのは本来なら警報ものだが、トレンディーとされている東京をゴテゴテ成金趣味にしたことにより中和されているか。が、それによって「東京以外に人生などない」と思い込んでいる東京人への批判は減じられてしまっている。お高く留まった東京人が耳にするだけでもおぞましいものとして草加、春日部、所沢などの地名が上がるが、あくまでも東京人が知っている地名でしかなく、行田の立つ瀬がない。まあ埼玉にしろ千葉にしろ豊かな地域だからこれが作れたんだな。ロードサイドの無味乾燥、県内の鉄道線網の起点が東京に集中し横のつながりがない件も指摘すべきだった。一番笑ったのはエンディングの「埼玉県のうた」。