Japan (Tamil/2023)をイオンシネマ市川妙典で。
8時開始+5000円を厭わず見に来たのは104席中の65%ぐらい。インド人は5~6人のみ。初期の宣材の金ぴかイメージからも予測できたようにカールティ版KGFだった。ただし、大仰で登場人物が多くとも一直線に進むKGFとは違い、屈折があり、文芸的とすら言える。明らかに主人公のアルターエゴであるキャラクターがいて、極貧であるにも関わらずその男は金に執着する。主人公とそのアルターエゴ、それぞれに不正を許さぬ母と懶惰を許さぬ妻とがいて絶対の倫理的支柱となっている。それ以外の人物は全員がグレーな影を持っていて、ヒロイン然と現れて「私は悪い子なの」と言うサティヤも例外ではない。例外は相棒の初老の男だけか。それにしてもJailerに続いて本作も、タミルの他にカンナダ、マラヤーラム、テルグ、ヒンディーが行きかうマルチリンガルだった。ジャパンの名前の由来については前半で見せつける金歯なのかと慄いたが、そうじゃないことが分かり安心。前半のジガルタンダみたいな劇中劇のセルフパロディーでは目の前真っ暗になりかけたけど、天晴なアンチヒーロー映画だった。