Dada (Tamil/2023)を川口スキップシティで。
「トリシュール行きの列車に乗って」という歌詞が謎だったが、どうもヒロインがマラヤーリ設定であるらしい。婚前交渉からの妊娠により心構えもできないうちに実質的夫婦生活を始めた若いカップルが喧嘩をして、夫が不貞腐れて電話に出ない間に妻は出産、けれども子供だけを残して夫の元から去ってしまう。夫は絶望しつつも何とか子育てして、数年後に職場で妻と再会し、そこから再び揉めるというストーリー。デビュー監督に無名俳優の組み合わせなのに異様なほど評価が高く、特に前半をnaitivityとrealityという語を多用して賞賛するレビューを読んだ。ただし、クライマックスだけは承服できない。古臭い親子泣き別れメロドラマの「運命の悪戯」みたいな手法が使われ、ビジュアルで「子は鎹」が表現されてげんなりする。シングルファーザーものだったらもっとリアルに子育ての苦労を描かないと。謎は幾つかあり、異様に献身的な友人の存在(ゲイ映画なのかと思ったほど)、それから主人公の経済状態の振れ幅。出産前は北チェンナイの団地みたいなところにいたのに後半では瀟洒なフラット住まい。