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Kurup (Malayalam/2021)をNTFLXで。 

ややこしそうなストーリーだと思ったが存外スルッと観られてしまった。犯罪者が主人公の本格的なピカレスクロマン。その犯罪に情状酌量の余地はなく、社会に対する異議申立ての要素も全くない、純然たる悪人の物語。変装で七変化するシーンが最大の見どころか。当人が殺人に手を下す描写はなく、他人を煽て凶悪犯罪を行わせる男。しかし粗暴な部分もあって、プライドを挫かれるような懲罰を受けたり、みっともなく逃走したりもする。山場はチャーリ殺しの場面。あっけなく殺される被害者をまさかのトヴィノ・トーマス、泣きくれる妻をアヌパマが演じているとは。ペルシャと言いながら明らかに中東なのは、政治的な配慮か。アレクサンダーという第三の名前は親父様のSamrajyam (1990)へのオマージュか。ただ大衆映画というメディアにおいてピカレスクをやるなら、「何だかイカした奴」提示だけではなく、病んだ部分をきちんと描出すべきではなかったか。警察車両の運転手に化けるくだり、中東のオイルマネーをどのように手玉にとったのかなどはもう少し丁寧に映像化してもよかったのではないか。

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