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Nayak (Bengali/1966)を国立映画アーカイブで。 

邦題は「主人公」。久々にベンガルの知性の翳りをドボドボ浴びた、悲劇のヒーローもの。トリビュート作Autograph (2010)を先に観てしまっていたけど、どちらもそれぞれに良い。ベンガル語映画界の頂点にある俳優が、授賞式出席のためにデリーに向かう列車の中で、彼を崇めようとしない唯一の人物である女性編集者に過去の人生と悔恨とを語り、そうしているうちに自殺の誘惑に晒されさえするが、結局デリーに到着し、スターの仮面を再び身に着けて去っていくという話。ウットム・クマールが作り込まれたスター・ペルソナだったり、不安定な生の人間だったりする揺れ動き、「くだらない映画」に対する痛罵、映画界への見下し(なりふり構わず映画界に入ろうとする女性のキャラクターが2人も出てくるが)、舞台の全体性と映画の断片性との比較、などなど。社交の場としての長距離列車のコンパートメントの人間模様、Mahapurush (1965)の生臭坊主がちょっと出てくるシーンはRay'sCUの趣き。編集者のインタビューを断るシーンと別れのシーンとのシニカルな台詞がいい。

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