Qala (Hindi/2022)をNTFLXで。日本語字幕付き。
プレイバックシンガーがヒロインと聞いて芸道ものを期待したが違ってた。芸道もの的要素を含んではいるが、サイコスリラーだった。メンタルヘルスの異常を放っておいてはいけないという今日的教訓と、悪事は必ず我が身に返ってくるという古くさいモラル説話とを含むメッセージ映画。しかし映像作家は全編を象徴的で耽美的な映像で埋め尽くすことに惑溺しているように思えた。毒親、男尊女卑、映画関連業界の中でのセクハラ構造、芸能カーストの閉鎖性などなどが盛り込まれるが物語はごく単純。女性の衣装などから1930年代と分かるが、当時の劇伴歌手の地位は憧れるようなものだったか疑問。舞台はヒマーチャル・プラデーシュで、ヒロインはトゥムリーの歌い手の家系。独特の装身具と衣装が気になった。ライバルのジャガンに打ち勝つ前のシーンで、洋装で幻想的なダンスが繰り広げられるソングがあるが、きわめて不穏な感情を掻き立てるもので、全編を象徴していた。陶酔的なトゥムリー、コケティッシュな映画ソングなどが素晴らしい。ディープティー・ディムリーのスレンダーさ、バービルの生っぽさ。