すずめの戸締り(Japan/2022)をイオンシネマ海老名で。
新海作品を映画館で見るのは初めて。本作もまた3.11傷痕文学。宮崎、愛媛、神戸、東京、宮城と地霊を鎮め、常世を覗きながら遍歴する男女(ただし男は異物)の物語。本作もまた圧倒的な天空の描写で魅せる。しかし平板なアニメ絵の人体、というか顔の描写とのギャップが相変わらず。入道雲、浮揚する気圧の力、成層圏のプリズムの煌めき、パラシュートのないスカイダイビングのイメージ、などなどは前作『天気の子』の方がより目覚ましいものだったかもしれない。「鎮め」と「悼み」の物語としては、非常にシンプルで分かりやすい。『君の名は。』からの3作は、明確に民俗学作品と定義されていることを知る。第1作の民俗は取ってつけた感があり飲み下せなかった。第2作は、滅びの形象に震えた。そして本作はアポカリプス後と定義されるとのこと。アポカリプスの後も人生は続いていく。3.11を経験していないと味わえないとの批評もあるが、あれを体験した1億に近い人間に届けばそれは大したことではと思う。最近某国映画で受け手の属性により評価が全然違うものを見てモヤモヤしていたのもあって。