最も普通の恋愛(가장 보통의 연애、Crazy Love、2019)を韓国文化院で。
小さな広告代理店に転職してきた女性とその上司となった男との縺れる恋。どちらも1985年生まれ。キム・ジヨンより3歳下ということになる。男は「恋する惑星」のトニー。朝起きると部屋に見覚えのない物がある。女は服から化粧からフェロモンをまき散らして男に寄り掛かるタイプに見えて、実際は独り立ちしていて、もう愛を(というか男を)あまり信じていない。くっついたり離れたりの恋模様のナラティブは見事。そこにアットホームなオフィスでの裏に回ると薄ら寒い人間関係やネット中傷の問題なども自然と浮き上がり、現代を生きる物語の印象が強い。男女のどちらもが自分をさらけ出すのが泥酔した状態でというのが面白さであるとともに限界の感じもある。酒を悪魔化して扱い、実際に旨そうに酒を飲むシーンがほぼない某国映画ばかり見ていると、正体不明になるほど酔った勢いで愛を告白したりそのままお泊りになるような大都市30代独身ライフは、文明世界に戻ってきたような気にさせてくれる。職場で恋人の有無をしつこく尋ねたりするマイルドセクハラは普通に描かれていた。