Ugramm(Kannada/2014)をDVDで。
何年ぶりかの鑑賞。この作品は大画面と大音響でなければ意味がないので、さらっとなぞるものであることを肝に銘じながら。まあそれと、どうしたってKGFと比べてはしまう。本当は二部作にしたかったのだろう無念とか、国家の力の及ばない治外法権ギャング・ネーションとか。思ってたよりもコメディーシーンの占める割合が高く、しかもおかしな二人組、八百屋、悪ガキ、それにヒロインと、ボケの担い手が多彩で独特。これがKGFから完全に失われてしまったもの。シュリームラリはパッと見が貧相で、やはりイケメンとは言い難いのだが、怒りの表現は素晴らしい。しかしそれよりも何よりも、硬派で不器用な男の含羞、母への誓いを破ることへの葛藤、内なる情動との戦いを、極めて抑制された演技で示すところが最大の魅力となっている。ラブソングのシーンにおいてすら破顔することはなく、ほんの微かな口の表情と眼差しだけで表現する。全編中に数回しか現れないそれらを、観客は両手で受け止めて稀なる甘露であるかのように飲み干すのだ。アクションシーンは意外に簡潔で、むしろピリッとした山葵のように感じられた。