セシボン(쎄시봉、2015)をオンラインで。
韓国文化院提供の映画特集で。1970年代のポップシンガーたちが主役の青春映画。実在の伝説のヴェニューをモデルにしたものだという。イケメンと実力派、二人のソウル在住シンガーをコンビにするにあたって、もう一捻りを加えるために取り込まれた忠武出身のギターも弾けない田舎者が主人公。そして彼らに楽曲を提供するもう一人の若者、女優志望の美人が絡んでの青春模様。ポップといいながら、ドニゼッティのUna Furtiva Lacrimaが出てきたり、「大きな古時計」を切々と歌い上げたり、一々思い出せないけどスコットランド民謡みたいなのがあったりで吃驚。ハーモニー重視の教会聖歌隊の世界に近い。そして元ネタが分かるというのはつまりほとんどが西欧世界の音楽のカバーだということ。歌声酒場的(酒の提供はないが)健全歌謡、そこにいわゆるグルーピー的な女性ファンが群がる不思議ワールド。知られざる韓国ポップ史を覗いた気分。しかし青春メモリーのあちこちには、夜12時のカーフューとか、ミニスカ狩り(よく分からないけどそんなのがあったのか)などなど、厳しい時代の足枷が見え隠れする。