One (Malayalam/2021)をNTFLXで。
本来の意味でのポリティカル・スリラーで、議会とその裏での駆け引きのスリリングさを楽しみ、最後は演説で締めるというもの。マンムーティのCMぶりのカッコよさが9割で、ダンスも乱闘もコメディーもない。テンション最高となるクライマックスはとある法案を議会に通すシーンだとか、これを2時間半の娯楽作品にするマラヤーラム語映画はやはりすごい。他言語のリメイクも考えることはできるが、絶対に余計な尾鰭つけるだろう。大好きないい顔のオッさんも大挙して出演で眼福。リサ・バーワなど2021年の物故者もいて涙。マームッコーヤの老けぶりが尋常でなくて心配。マドゥ翁はお元気そうで何より。無謬の倫理性をもつスーパーCMの瑕疵は、時々記憶障害になること(Undaを思い起こさせるがここでは意味があったろうか?)、そして亡き両親に孝養を尽くせなかったこと、妹とも充分な触れ合いができなかったこと、自身も結局独身で終わりそうなこと。完璧CMに対する無辜の庶民を一つの家族で代表させるのは作為的ではあるが、その受難の描写にはリアリティーがあって、特に長女の無念には共感がある。