『トガニ 幼き瞳の告発』(도가니、2011)をオンラインで。
実話に基づくという告発社会派映画。トガニとは坩堝の意だというが、画面は全く寒々しく、霧に由来する名前の架空の地方都市はまさに暗黒物語の舞台に相応しい。冒頭の鹿をはねるシーンは例のゾンビ映画も思い起こさせて禍々しい(俳優も同じだし)。悪役は女性も含め皆コテコテで分かりやすい。特にキモいおっさんの双子の不気味さをこれでもかと活用した。「教会」の描写が一番救いのないものに思える。障害児への性的暴行のシーンは生々しく、普段見ている某国映画との違いがすごい。子役にトラウマを与えないような形での撮影に苦労したことをあとから読んだ。裁判で被告側の嘘が次々と明るみに出てくるところは、陰鬱な中で唯一気が晴れるシーンだった。最後に裏切ったのは検察だったが、前官礼遇という慣習がまかり通るというのにも闇の深さがうかがえる。