Alborada (Sri Lanka/2021)を東京国際映画祭で。
パブロ・ネルーダのセイロン滞在時のエピソードを描くという事前情報のみで、爽やかなスチル写真にも惹かれて見に行ってみたが全然違ってた。実質タミル映画といっていいほどにタミル人が多く登場する。クライマックスまでは、植民地時代のセイロンに名誉領事としてたどり着いた、限りなく不良外人に近いチリ人の若者の、懶惰な社交界での生活と半端なオリエンタリストぶり、子供の夏休みが永遠に続くかのような無邪気な戯れを描き、ただしフランス映画のベトナムものほどに映像の鮮烈さはなく、微妙な印象だったが、微妙な印象だったが、クライマックスでヒリヒリとしたものに。エンディングで彼がトイレ掃除の用具を運び続ける描写は、彼がその後死ぬまで非難を受け続けることを暗示するのか。ただし、善と悪の二項対立にすには植民地は余りに複雑すぎるので、主人公に犬のように仕えながらもダリトのタミル人を差別するタミル人バトラーを配し、最後に彼に反撃させるが、それは象徴的なものでしかなく、彼が去った後には代わりは幾らでも見つかるだろうという皮肉。ウェラワッタが舞台という設定。