『ちまき売り』(燒肉粽、1969、台湾)をアテネフランセにて。
「よみがえる台湾語映画の世界」シンポの一部として。デジタル・リマスター版、モノクロ。いきなり悪役男女のベッドシーンから始まる強烈設計。そして主人公である男が、自分自身浮気をしているにもかかわらず自宅に男を連れ込んだ(という状況証拠を偽装されてしまった)妻を許せず追い出す。その後、省略された何ごとかが起こり、彼は無一文の非熟練労働者に堕ち、そこから彼は3人の子供を抱える「耐える母」的な役回りを演じていく。印象的なのは、冒頭の悪役以外、隣人の風船売り夫婦といい、捨て子を一時的に拾った資産家夫婦といい、粽屋といい、皆お人好しな味方であること。これが台湾呑気というものなのか。上映を挟んだ前後のレクチャーでは、台湾語映画の再発見の状況(1000本と言っていたのは製作された全本数なのか、レストアされた本数なのか)やその文化的位置づけがよく分かった。